director's voice

ふくべ窯(陶芸)

Q1
岐阜県土岐市で窯をひらくふくべ窯さん。
「工房からの風」にはどのような作品を出品くださいますか?

A1
精炻器(せいせっき)というやきものを出品します。

精炻器は昭和初期に岐阜県で生まれたやきもので、化粧土を使った加飾技法を特徴としています。
約50年前に生産が途絶え、現在制作ができる作り手はほんのわずかです。
約20年前に当時の精炻器に出会い、その美しさに魅了されました。
技法を学び、現在はふくべ窯として夫婦で精炻器を制作しています。
精炻器には化粧土を使った様々な技法がありますが、私たちはさまざまな色の化粧土を盛り上げるようにして筆で描いていきます。
身近にある植物や動物をモチーフに毎日の食卓が楽しくなるような器づくりを目指しています。

私たちが昔の精炻器から感じたわくわくを、ふくべ窯の精炻器から少しでも感じていただけましたら嬉しいです。
精炻器の貴重な加飾技術、作品を多くの方に広く知っていただくきっかけにしたいと思っております。

Q2
工房で大切な、あるいは象徴的な、あるいはストーリーのある「道具」について1点教えてください。

A2
私たちふくべ窯の大切な道具は、化粧土で加飾するためのヘラです。

筆以外の加飾の道具は多くが手作りです。
このヘラは精炻器の先生である曽根洋司先生が作られたヘラで、精炻器を学び始めた頃からずっと使い続けています。
先生のヘラは私たちが作った道具よりも格段に使いやすく、20年近く制作をしていてもかないません。
化粧土を柔らかく動かし、思い通りの表情を出せるこのヘラを使うたびに、制作したものだけではなく、そこに至るまでの過程も大切に受け継いでいきたいと強く思います。

Q3
お手持ちの「工藝品」で愛用、または大切にされているものついて1点教えてください。

A3
愛用している工芸品はNAKARI WATCH JP さんの腕時計です。

まだ使い始めて2年ほどですが、はじめは堅かった皮が使うたびにやわらかく肌に馴染み、木製の文字盤もだんだん深みのある色になってきています。
ただ時間を確認するだけのものではない、同じ時間を一緒に過ごしている生きもののようでとても気に入っています。
これから使い続けてどんな色合いになっていくのかとても楽しみです。

ご夫婦で制作される「ふくべ窯」。
どこか懐かしいような、それでいて新鮮な「精炻器(せいせっき)の器。
なかなか見る機会も少ないかもしれません。
その独特な美しさの有る器が、普段使われている様子を想像してみるのも楽しいですね。

ふくべ窯さんのインスタグラムはこちらです。
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